空をなくしたその先に
「邪魔して悪かったな」

「いいわよ。あなたが言うのは当然のことだから」

急に夜風を冷たく感じて、ダナは身をふるわせる。

ディオといた時はまったく寒いとは感じなかったのに。

肩にフレディの上着をかけられた。


「寒くないの?」


聞かなくてもいいことを、あえて口に出してしまう。

こんな風に扱われるのには慣れていない。

どうすればいいのかわからなくて、ただ上から舞い降りてくる雪に視線を向ける。


「寒くないとは言わないけど、俺って紳士だから」

「何それ」


ふいに、フレディに肩を抱き寄せられた。

耳元で優しい声がささやく。


「俺とディオの立場が逆ならよかったのにな。

カイトファーデン家の息子なら王位継承権は持っていないから、

周りも『あらあら可愛らしい二人ね』ですませてくれたろうに」

「言ってみても仕方ないわ、そんなこと」


ダナは、フレディの肩に体重を預ける。
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