空をなくしたその先に
当然こんな状況で夕食が入るはずもなかった。

参加予定だった夜会には、発熱したと欠席の使いを出してディオは早めに寝室に入った。

たいしたことはないからと、医師の診察はやんわりと拒否する。

彼の父親はたいそう体が弱かったから発熱のたびに医師が呼ばれていたが、

彼はそこまで病弱ではないし、今回は仮病だ。

夕食にほとんど手をつけなかったことから、誰にもよけいなことは詮索されず、一人になることに成功する。

ディオは扉を入ってすぐのところに座り込んだ。

膝の間に顔をうめる。

フレディからもビクトールからも何の連絡もない。

最終的な報告によれば、最後に彼女の姿が確認されたのは、フレディに呼ばれた場所へと向かう時だった。

昼食の前に散歩をと二人が待ち合わせたのは、中央に国王の遺体が安置されている公園だった。

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