空をなくしたその先に
国王が死亡した時だけ使われる安置所は公園の端、

海に面した丘の上にあり、昼間の間は誰もが花を捧げられるように開放されている。

亡き国王に敬意をささげようと途中で花束を買ったダナは、公園を入るところまでは警備員に確認されている。

つまり、公園の中で彼女は行方不明になったということだ。


当然ながら公園の中は完全に捜索が行われたが、何も発見できなかった。

不安がディオの胸をしめつける。

どこに行ってしまったというのだろう。

膝の間に埋めた顔をあげ、壁に封筒がとめつけられているのに気がつく。

朝部屋を出るときにはなかったものだ。

眉をひそめながらディオはその封筒を手に取り、開封して中身に目を走らせた。

中身の確認を終えて、手の中で紙がぐしゃりとなる。

丸めて壁にたたきつけられた紙は、乾いた音をたてて床に落ちた。
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