空をなくしたその先に
くだけた格好の他の旅客たちと違って、
きっちりとネクタイを締めた上に上着も着込んでいる。
本当はもう少し楽な格好をしたいのだが、
上着を脱ぐことさえ不安でしかたない。
託された機密書類を無くしてしまいそうで。
部屋に戻っても、寝間着に着替えることすらなく過ごしてしまいそうだ。
手すりにもたれて目を細める。
船底につけられたプロペラが風を切る音が響いてくる。
頭の上では、帆を固定したロープの端がぱたぱたとしている。
空の航海ははじめてだった。
主に金銭的な事情で。
ディオの生家から、
大学のあるセンティアの王都までは海路で一週間程度。
列車で十日以上かかる。
それでも空を使うよりははるかに安上がりだ。
甘えるなと言った両親は、
最低限の旅費しか出してくれなかったため、
今までの往復にはその時の懐事情に応じて船か列車を使っていた。
きっちりとネクタイを締めた上に上着も着込んでいる。
本当はもう少し楽な格好をしたいのだが、
上着を脱ぐことさえ不安でしかたない。
託された機密書類を無くしてしまいそうで。
部屋に戻っても、寝間着に着替えることすらなく過ごしてしまいそうだ。
手すりにもたれて目を細める。
船底につけられたプロペラが風を切る音が響いてくる。
頭の上では、帆を固定したロープの端がぱたぱたとしている。
空の航海ははじめてだった。
主に金銭的な事情で。
ディオの生家から、
大学のあるセンティアの王都までは海路で一週間程度。
列車で十日以上かかる。
それでも空を使うよりははるかに安上がりだ。
甘えるなと言った両親は、
最低限の旅費しか出してくれなかったため、
今までの往復にはその時の懐事情に応じて船か列車を使っていた。