空をなくしたその先に
帰りつくまでの道のりで、彼に対して築いた信頼ががらがらと音をたてて崩れていく。

けれどその話が事実なら、ディオをわざわざ王都まで連れ帰る必要もなかったはずだ。

道中いくらでも殺す機会はあった。

完全に彼らの手の中にあったのだから。

「残念ながら俺は、あの研究を完成させるだけの能力は持ち合わせていないよ。

だからディオが完成させるのを待っていたんだ。

俺の協力者も力を失っているしな。

二年前ならともかく」

「二年前……」

「そう。あの時は正面から王位を奪うつもりだったのさ。

空賊退治に出た部隊を一つ一つ消していけば、王家の守りは薄くなる。

いつどこに部隊が出るか、俺ならいくらでも情報を仕入れられるしな。

もっともどっかの馬鹿が、艦ごと島にぶちあたるなんて暴挙を犯してくれたおかげで、

最初の一戦で終わってしまったわけだが」


ダナは怒りの声をあげた。

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