空をなくしたその先に
「ディオを……殺すというの?」

「二年前の計画では父親だったけどな。

王を殺してすべてを奪う……いや取り戻すんだ。

俺が奪われたものを」


ダナは唇を噛んだ。


「あたしじゃ人質にはならないわよ?

だって……あたしはただの駒だから。

ディオだって、駒を取り戻すのにあの設計書を投げ出したりはしないでしょうよ」


旅の間、何度もディオには言ってきた。

ダナ自身を見殺しにしてでも、彼自身が生き延びることを考えろと。

きっと彼なら、一番大切なことが何なのか理解してくれるはずだ。


「どうかな?」


喉の奥でフレディは笑い声をたてる。

今まで聞いたこともないような嫌な笑いかただった。


「あいつは本当にそう割り切ることができるかな?」


ため息をつき、後ろに両手を投げ出して彼は天井を見上げる。


「欲しいものはみな、あいつが独占しているんだよな」
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