空をなくしたその先に
吐き出されたため息。

父親も。

王位も。

好きだと思った相手でさえも。

でも、一つだけディオより先に手に入れることができるものがある。

今目の前にいる彼女。


「君たちの間に何もなかったのはわかっている。

ということは、今俺が奪ってしまえば、

君だけはあいつより先んじたってことになるんだよな」


そうつぶやくと、フレディはベッドの上によじ登ってきた。

次に起こることを予感して、ダナは顔をそむける。


「やだっ……」


馬乗りになったフレディは、強引にダナの顎をひいて正面から顔を見合わせた。


「やだって言われても、君に選択権あるわけないだろ?

大丈夫。

俺けっこううまいし、暴れなきゃ痛い思いはしないですむ」


顎をつかんでいた手が喉から胸元へと滑り落ちて、シャツのボタンにかかる。

一つ。

二つ。

ボタンが外されていく。

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