空をなくしたその先に
フレディは本当に別の手を用意しているだろう。

何年も前から計画をしていたというのなら。


「イレーヌさんは?」


起きあがるとだんだん頭ははっきりしてきた。

舌は回らないが。


「港。必要なものを受け取ったらすぐに船で脱出だ」

「イレーヌさんも共犯なのね」

「そりゃそうさ」


フレディは肩をすくめる。


「彼女の姉を不幸においやった男に対する復讐だからな。

ま、当の本人は花に囲まれて横になっているわけだが」


フレディは時計を見上げた。


「そろそろ時間だな。君の王子様に会いに行こうぜ」


ダナにブーツを履かせてやり、手を貸して歩き始める。

つい昨夜、ダンスフロアでしていたように。

けれど昨夜とは違って、寒々とした空気が二人の間に流れていた。
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