空をなくしたその先に
やがてゆっくりと安置所の扉が開かれる。


「待たせたな」


黒の長いコートで身体をおおって、ダナを連れたフレディがあらわれた。


「安置所の前にいた二人には眠ってもらった」


肩をすくめるフレディの様子には、特に変わった気配は見受けられない。

公園入り口の警備兵をどうやって突破したというのだろう。

そんな疑問を口にすることもなくディオは静かに立ち上がり、二人の方を見る。


「ごめんなさい……あたし……」


ダナがうつむいた。


「いいんだ。君のせいじゃない」


ディオは、唇の両端を持ち上げて見せる。

彼女を少しでも慰めることができればと願いながら。

どこか空々しい陽気さをはらんだフレディの声が、二人の間に割って入った。

「さて、と。

感動の再会はそこまでにして。
持ってきてるんだろ、あれ」


ディオはフレディから視線を外さないまま、首に手をやった。
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