空をなくしたその先に
首から外した袋から折り畳んだ紙を取り出す。

ゆっくりとそれを広げて見せた。

ろうそくとランプのぼんやりした明かりしかない安置所の中で、

それでもそれがもとめていたものだと知り、フレディは声をあげた。


「それをよこせ!」


左手にダナを抱えたまま、彼は右手を伸ばした。

一歩下がって、ディオは設計書を持った手を上に上げる。


「これを手に入れたら、君はどこかの国と手を結んで王位を奪いに来るんだろう?」

「わかっているじゃないか」


鼻で笑うフレディに、ディオは哀れむような視線を向けた。


「君に王たる資格はないよ……ごめん、ダナ」


ディオの手が、ろうそくの火の上へと設計書を移動させた。

炎は紙の下端を舐めたとたん、みるみる燃え上がった。

火傷する一歩手前まで燃えたところでディオは手を離す。


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