空をなくしたその先に
ディオの頭の中を支配しているのは、どうすれば自分の罪をあがなえるのかということだけだった。

人の手には大きすぎる力を手に入れてしまったことへの贖罪を。


「今あなたがいなくなれば、国が乱れることにつながりかねません。

宰相閣下がどれほど有能だとしても、彼は王位を継ぐものではないのですぞ」

「……」


ダナの頭に銃をつきつけたまま、フレディが現れる。

首に巻きつけていた手が、そのままコートの内側へとすいこまれていく。

その手が出てきたかと思うと、何かが宙を舞って、下で待ち受けていた一団の中央へと落ちた。

雪に埋もれたかと思われた次の瞬間。


「離れろ!」


ビクトールの指示と、落ちてきた物体が爆発するのは同時だった。


「ディオ!」


ダナの悲鳴をよそに、フレディは彼女を肩の上にかつぎあげた。

首に巻いていたマフラーを、口元まで引き上げて。
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