空をなくしたその先に
爆発したといっても規模はそれほど大きなものではなかった。
爆発そのものでは死者も負傷者も出ていない。

爆発と同時に放出されのはガスだった。

放出したガスが目や喉を刺激し、皆目をおおい、激しい咳に襲われている。


「しっかり息を止めておけよ」


ダナにそう忠告しておいて、フレディは二段とばして階段を駆け降りた。

上から逃走経路は確認してある。

ガスの影響が極力少なく、兵士の間をくぐり抜けやすい場所を適切に選んで、通り抜ける。

ちらりとビクトールと目が合ったような気がしたが、気のせいだろう。

忠告に従わなかったダナが、肩の上でせき込んだ。


「息を止めておけといったのに」


あきれたようにつぶやいて、フレディは丘の下にある小屋を目指した。

公園の管理人が整備に使う道具などをしまっておくための小屋だ。

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