空をなくしたその先に
掃除道具などが、乱雑に置かれている。

隅に大きな木箱があった。

箱に張られた紙に書かれていることから判断すると、中に入っているのは、花の手入れに使われる肥料だった。


ダナを床の上に座らせておいて、フレディはその箱を動かした。

ぎしぎしいいながら、箱は床の上を滑る。

その下から現れたのは、地下へと続く通路の入り口だった。

この小屋を使うのは管理人だけで、この箱を動かすことなどしないであろうと、イレーヌに指示して掘らせた通路だ。

公園に入るときも、ここから入ってきた。入り口の警備兵に見つからなかったのもこのためだ。


「来るんだ」

「もういいでしょ。ここから先はフレディ一人で逃げればいい」


あの様子だと、しばらくディオたちは動けないだろう。

ここから先は、フレディ一人で逃げる方が身軽なはずだ。


「だめだね。君も連れていくって決めたんだから」

「あたしの意志は?」

< 526 / 564 >

この作品をシェア

pagetop