空をなくしたその先に
「この場合、問題にならない。
立たないならかついで連れていくまでだ」

彼女は華奢とはいえない体格なのだが、フレディなら問題なくかつぎ上げて連れていくだろう。

彼女を肩の上に抱えあげてこの小屋にたどりつく間も、よろめくことなど一度もなかった。

身体が正常に動くのなら、蹴り倒してやるものを。

その念だけをこめて、睨みつける。

フレディは平然とダナの肘をとって引き上げた。


「行こうか」


仕方なくダナもフレディに続いて階段を降りる。

一歩小屋に入れば、通路が丸見えだが問題ないと判断したのか、来たときには元の位置に戻した箱は、そのままだった。


ビクトールたちが小屋の通路を発見する頃には、船で待つイレーヌとともに出港しているはずだ。

間に合わせで掘った通路は、海が近いからか、土がむき出しの床も天井もじめじめとしている。
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