空をなくしたその先に
36.贖罪の旅へと
最後の荷物を鞄につめて、ディオは部屋の中を見回した。

もとから殺風景だった部屋の中に残っているものはほとんどない。

彼が手にしたのは小さな鞄一つだけだった。

あれから三ヶ月、だんだん暖かくなってきているとはいえ、夕方になると冷え込む。

コートの上からマフラーをしっかりと巻きつけて部屋を出た。

もうここに帰ってくることはない。

次にここに来るときは、国王の甥、ただの客人だ。

最初にディオの決意を聞いたフェイモスは、真っ赤な顔をして反対した。

軽々しく王位を捨てるのかと、責めもした。

責められてもディオは決意を曲げなかった。

彼にできるのはこれだけだと確信していたから。

何日にもわたって話し合い、そしてディオの決意が揺るがないのを知った叔父は、反対していたのが嘘のように協力的になった。


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