空をなくしたその先に
確かに、フォースダイトは貴重品だ。

ディオの持つ研究成果を持って帰れなかったとしても、

価値のある戦利品として通じるだろう。

秋の気配をまとった空気が、
ディオの肌を指した。

思わず身震いすると、ダナはあきれたように首をふった。


「これくらいでそんなに寒いわけ?
ほら、毛布!」


どこから取り出したのか、薄い毛布がディオの顔にたたきつけられた。

それを体に巻きつけてみても、保温効果の恩恵にはあずかれなかった。

吹きつける潮を含んだ風の方がよほど強い。


「本当に……ぼんぼんってやーね!」


もう一枚、同じような毛布が投げつけられる。

そんなことを言われても困る。
防寒に優れている飛行服を着ているとはいえ、寒いものは寒いのだ。

ディオに二枚の毛布を渡しておいて、

ダナは戦闘機から地面の上に滑り降りていた。
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