空をなくしたその先に
波の規則正しい音が耳に忍び込む。

時おりまざる、工具がたてる金属的な音。

上を見上げれば、木の間から星が見える。

つい先ほどまで、あそこにいたのだと思うと不思議な気分だ。

ディオは目を閉じた。

眠らなくてもいい。体力を温存するだけ。

そう思っていたはずなのに、
浅いながらもなんとか睡眠時間は確保できたらしい。

意外と自分はずぶとかったのかと、
苦笑しながらディオは起きあがった。

東の空が白みかけている。

堅いところで寝ていたためか、さすがに体のあちこちが痛い。

一歩踏み出したところで、
関節がきしむのがわかった。

地面で寝るという経験は、
予想していたより体に負担をかけていたらしい。

そうはいっても、気分はさほど悪くなかった。

爽快、とまではいかなかったけれど。
< 64 / 564 >

この作品をシェア

pagetop