空をなくしたその先に
昨夜からの経験が、
あまりにも今までの日常と違いすぎて、

神経回路が麻痺しきっているようだ。


「お腹すいたら、後ろで食べてても気にしないわよ?」

「……遠慮しとく」


コーヒーを注いでから、ポットをダナはバスケットに戻した。
自分の分しか注いでいない。

ディオはバスケットを足下において、
自分にもコーヒーを注いだ。

材質はわからないが、カップは金属でできているようだ。

ポットに注がれたときから時間が経過していることもあり、
火傷をしそうな熱さというわけではなかった。

体が温まる。
昨夜からの緊張がほぐれるような気がした。


「救援ってビクトール?」


コーヒーをちびちび飲みながらたずねる。

ダナの表情が曇った。


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