空をなくしたその先に
下降することこそなかったものの、機体が左右に揺られて不安定だ。

無駄だとわかっていても、ディオはベルトを握りしめずにはいられなかった。

数十分、そんな不安定な飛行を続けたところで二人は

アーティカの軍用艦、サラが指揮するリディアスベイルに合流することができた。


「久しぶりね……見違えてしまったわ」


自ら出迎えたサラは、二十代後半の女性だった。

豊かな栗色の髪を、太い三つ編みにして肩から胸の前へと垂らしている。

なかなか整った顔立ちで、

きちんとした格好をすれば周りの男たちが放っておかないだろうとディオには思えたのだが、

今は二人が着ているのと同じ茶の飛行服を身につけている。



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