空をなくしたその先に
悲鳴が甲板中に響きわたった。
乗客たちは、我先にと船室へと逃げ込もうとする。

狭い通路はたちまち人であふれかえった。

ディオはその流れを無視して、船体後方の非常階段にかけよった。

このまま船底まで行けば、
脱出用の小型艇があるはずだ。
財布に偽の旅券、機密書類。

大切な物は、すべて身につけているから問題はない。

空賊にもいろいろあるが、
乗客を皆殺しにする残虐なやつらも多数存在すると話には聞いている。

殺されては元も子もない。

生きて国にたどりつかなければ。

二段ずつとばしながら階段を駆け降りる。

船底にたどりついた時、
爆発音が響いてきた。

こういう大型船には、
古代人の残した遺産であるフォースダイトが使われている。

現在の技術力だけでは、
これだけの大型の船を空中に浮かべることなど不可能だ。

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