空をなくしたその先に
ちっとも同情していない口調でそう言うと、

ディオの運んできたトレイからスープの皿を取り上げた。


「鍋に放り込んで煮るだけだったから何とかなったよ」


笑い混じりに返すと、ディオはダナを外に誘った。


「天気がよくて、気持ちいいよ」


素直に外に出るダナのために、格納庫のドアを押さえてやる。

「どんな感じ?」


格納庫の壁を背に、
並んで座るとディオはたずねた。


「なんとかなりそう。
でも、ティレントまでこのまま連れていってくれるって。
あたしの出番は終わりかな」


肩の荷をおろしたというような、ほっとした笑顔。


「ビクトールたちは大丈夫かな」

「大丈夫……だと思う。

だって、ちゃんと王都で会おうって言ったんだから。
ビクトール様は嘘つかないもん」


皿を空にして、ダナは立ち上がった。
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