空をなくしたその先に
そんな彼女の様子には頓着することなく、サラは続けた。

形のいい口元に自嘲気味な笑みがひらめく。


「違うわね。

やっぱりあなたを始末する理由が欲しかったみたい。

秘密を知られた以上、生かしておくわけにはいかないもの、ね」

「……どういう……こと?」


ようやく声を絞り出したディオに、サラは哀れむような視線を向けた。


「ああ、ディオ君は航路図読めないのね?

今、この船はティレントになんて向かっていないの。

ダナは部屋に入ってきた瞬間に気がついたみたいだけど」


高らかに、サラは宣告する。


「この船が向かっているのは、センティアとアリビデイルの国境よ」

「サラ様……なぜ、こんなことを?」


力のない声で、ダナはたずねた。
サラは機嫌よく答える。
どこかもろさを抱えた笑顔で。
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