空をなくしたその先に
「そうね、そんなの誰にもわからないわね。

安心なさい。

坊やは、センティア方面へ送り届けてあげるから。

無益な殺生はしたくないのよ。
できれば、ね」


説得力のない言葉をはいて、サラはダナの正面に立った。


「ここを血で汚したくないわ。甲板へ行きましょう」


男たちを室内に残したまま、サラは二人を甲板へと誘導する。

ダナはディオの手を握りしめたまま、黙ってサラの言うとおりに階段をのぼった。


「遺言の言葉は?
ビクトールに届けてあげるけど」


凄惨な笑みを浮かべて、サラはたずねた。


「ありません……ただ」


ダナが哀願するような声で返す。


「ディオにきちんとお別れを言わせてください」

「どうぞ、ご自由に」


くるりと向きを変えたダナは、ディオを抱きしめた。

最後の別れを惜しむかのように、ぎゅっと腕に力をこめる。
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