空をなくしたその先に
「走って!」


言われるまでもなかった。

ディオは格納庫目指して必死にかけた。

気を取り直したサラが銃を撃つ。

二回、三回と続いたそれはディオの体をかすることさえしなかった。

格納庫に飛び込んだのはダナが先だった。

ディオを待って、ドアをしめる。

もう一発放たれた弾が、
ドアにあたって不愉快な音をたてた。


「乗って!」


昨日と同じ台詞。

同じように尻を押し上げられて、戦闘機の後部座席に滑り込む。

背後では扉に到達したサラが、声をあげて仲間を呼んでいた。
二人が入ってきた入り口とは逆方向の

発進口のシャッターを開くレバーを操作して、
ダナも乗り込む。

前に滑り出したところで、
開きかけた発進口がまた下に降り始めた。


「間に合わないよ!」

「間に合わないならこうするだけよ!」


戦闘機のウィンドウをあげて、ダナは無造作に小さな玉を放り投げた。

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