空をなくしたその先に
6.地上の夜
長い時間海面すれすれを飛び続けて、
ようやく陸地が見えてきた。

日はとっくに沈んでいる。

緊張を強いられる夜間の飛行にも、ダナは平然としたものだった。

特に今夜は月が明るく、視界が遮られることはない。

機内の空気に耐えられなかったのはディオの方で、

無言のダナに何度か話しかけてみたりもしたのだが、

返事が返ってくることはなかった。

見えてきた陸地に、
思わずディオは何度目かの問いかけを投げた。


「あれは?」

「ルイーナ。ひとまずあそこに降りるわね」


ようやく言葉を発したダナが口にしたのは、

観光地として知られる
比較的大きな島の名前だった。
温暖な気候、風光明媚なことで知られ、
富裕層の別荘も多く建てられている。

島の南側は綺麗な砂浜に恵まれているため、
別荘やら宿泊施設やらが集中し、

それをあてこんだ商売人もそちらに向かうというわけでかなりにぎわっている。
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