空をなくしたその先に
一言で言ってしまえば、気が利かないと言うことになる。

これが、研究や学問に限定してのことならまた話は変わる。

ディオが王子でありながら、
センティアに留学、

さらには研究室への出入りを許されたのは、

彼の鋭さに定評があるからだった。

その鋭さは、日常生活には一切生かされていない。

必要なかったのだ、今までは。
文句を言いながらも、周りが片づけてくれた。

これからは、そうはいかない。
無事に帰りつくまで、もう少し気をつけなければ。

水を汲んで戻ってくると、ダナは膝を抱え込んでいた。

濡れた飛行服は、火のそばに広げられている。

毛布は、二枚ともリュックサックのそばにたたまれたままだった。

ダナは礼を言って、ディオが渡したカップを口元に持っていく。

一口だけ飲んでカップをおいた。
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