困った生徒 【超短編】
困った生徒


「んーじゃあここ答えてみろ」

「・・・3,14??」

「残念だが不正解だー。いい加減円周率ばっか答える癖やめてくんない?? お前、今日も補修な」

「はいっ」



勢いよく椅子から立ち上がるあたし。

膝で後ろに飛ばされた椅子が、ガタッと音を立てる。



「そうかぁ宮野、そんなに補修が嬉しいかー」

「はいっ」

「・・・ふ~ん」



めんどくさそうに開いていた教科書をパタンと閉じ、「じゃ、これで終わり」とチャイムの音とともに教室を出て行く坂下先生。


あたしの、大好きな先生。


「やった、今日も補修」


小さくガッツポーズをする。



あたしが補修を好きなのは、勉強をするのが好きな訳じゃない。

あたしが好きなのは、先生だ。 

ただ、先生と二人で居られる時間が好きなのだ。

まぁ、だからと言ってわざと補修うけてる訳ではないけど・・・。


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