てのひら。


現地に着くと、風は強いものの空は快晴で

皆重い重いと口々にぼやきながら荷物を抱えて空港を出る。


ようやくバスに乗り込み発車すれば、バスガイドのお姉さんがあちらこちらの紹介をし始めた。

いつもはうるさいクラスメート達も、こんな時だけ質問混じりに熱心に話を聞いているのが面白い。


バスはひめゆりの塔、沖縄戦の資料館など順繰りに周り、夕方前には川沿いに建つ小さなホテルに到着した。



私が違和感を感じ始めたのは、その夜の夕食。


あろうことか、私の苦手な2人組が同じグループにいて、食事をしていると何やら視線を感じる。

もちろん視線の元はその2人。



『…何?』


『あのさ〜、何上品に食べてんの?お嬢様じゃあるまいし』


『バカじゃない?うざいんだよね、そういうの』



意味が分からない。

もちろん私にはそんなつもりはなかったし、そんなことをしたわけでもなかった。



『じゃあ見なかったらいいじゃん』


『は?何言ってんのこいつ意味分かんない』

『ほっとこうよぉ』




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