ストロベリーショートケーキ
ストロベリーショートケーキ

1.だいすきなけーちゃん

 


―ピピピ ピピッ…



手を伸ばして、机の上の目覚まし時計を止める。



「ふぁああ…」



天井につくくらい大きくのびをして、カバみたいに大きく口を開けてあくびをする。

何回か瞬きをして、眠たい目をこすった。

ベッドから起き上がり、部屋のカーテンと窓を開けると、春のまだ肌寒い風が入ってきた。



「うぅう…寒い」



でも、ガマンガマン

だってもうすぐ…

ほら、きた。



窓から見える、道路にはだいすきな"けーちゃん"の姿。

けーちゃんは毎日朝はやくから新聞配達のアルバイトをしてるんだ。



「おつかれ、けーちゃん」



聞こえないくらいの小さな声で言う。

ゆあの日課は、毎日こっそりけーちゃんにおつかれを言うことなんだ。

向かいの家のけーちゃんは、いつも帰ってきて自転車を停めたら、家の中に入っていく。

その背中を見た後に、ゆあも窓を閉めるの。



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