ストロベリーショートケーキ
誰かさんって…ゆあのこと?
「なんかいっつもそこに居んのにさ、居ないとさみしーじゃん」
けーちゃんが向かいの家の窓を指差す。
白いレースのカーテンが閉まったままの窓、そこは間違いなくゆあの部屋。
「ごっ、ごめんねけーちゃん」
前に座ってるけーちゃんの肩を、トントンと叩く。
「いつもおつかれさま」
ゆあがそう言うと、けーちゃんはすこし首を後ろに向けて、笑った。
「うん」
トントン、トントン
けーちゃんの肩を叩く。
叩くたびにけーちゃんの体の一部と触れ合えてる、なんだかそれだけで幸せ。
「土曜日の、10時だっけ」
「え?」
けーちゃんがすくっと立ち上がって、ゆあの顔を見下ろす。
「行こっか、映画」