ストロベリーショートケーキ
「けーちゃんけーちゃん!見てこれすっっっごくかわいー!!!」
「けーちゃん!ねぇっソフトクリーム食べよっ!!!」
「けーちゃん見てあそこっ!風船配ってる!もらいに行って来てもいーい!!?」
「けーちゃんけーちゃんっ」
けーちゃんの名前を呼ぶと、くすっと笑われた。
「え、なに?どうしたの?」
ゆあが頭にいっぱい"?"を浮かべながら聞くと、けーちゃんは口に手をあてながらくすくす笑って言った。
「や、だってさ
映画見に行くんじゃなかったのかなぁって思って」
「あ!!!」
そうだった!!!
慌ててなっちゃんからもらった映画の割引券を鞄から出した。
確か、使える時間が決まってたはず。
「これ、上映時間11時からだって!」
いまの時間は…
ゆあは時計もってないから、けーちゃんをちらっと見る。
「うーん、10時50分
ギリギリだね」
うそーお!
「どっ、どうしょう!」
「走ったらギリ間に合うかも」
「えっ」
ぐいっとけーちゃんがゆあの手を引く
「ほら、走るよゆあ」
ゆあの手を握るけーちゃんの手
ゆあを引っ張って走るけーちゃんの後ろ姿
こんなに、おっきかったっけ?
「うっ、うん!!!」
映画館までの10分間、けーちゃんの手を離れないようにぎゅって握った。