ストロベリーショートケーキ
パタン、と静かに音をたてて、けーちゃんちのドアが閉まる。
それを見届けてから、ゆあも部屋の窓をしめた。
じぶんのベッドに座って、さっきのけーちゃんの言葉の意味を考える。
『いつも、ありがとう』
いつも…って?
ううん、と腕を組んで考える。
もしかして…
けーちゃんは毎朝ゆあが"おつかれ"を言ってるのに、気づいてたのかもしれない…
だから…
だから、いつもありがとうなんだ。
「…っ、きゃー!」
今日よりずっと前からばれていたのかと思うと、途端に恥ずかしくなって
枕に顔を埋めて、足をばたばたさせながら叫んだ。
けーちゃんはいつから知ってたの?
もしかして最初から?
じゃあ気づいてたのに、ゆあの楽しみを奪わないために、今日までずっと知らないフリしてたの?
だとしたらけーちゃんは、ゆあが思ってるよりずっと大人だ。