893〜ヤクザ〜
姐さんは何やら若い衆にブツブツと愚痴っとった。



「あんたらどう思う!!何か知ってるやろ!!言うてみ!!絶対におるわ!!パパ行くとこなんかないやろ!!絶対に女やわ!!!」



「姐さんちゃいますって絶対に。おやっさん浮気なんかしてまへんて〜。多分、菅本のオジキとおるんですわ〜。」



「ほな何でお前ら誰もボディー付いてへんねん!!パパは携帯持たへん人なんお前らも知ってるやろ!!!!!」



「い……いやせやけど、おやっさんボディー嫌がるんですわ……汗」



「パパに何かあったらお前ら全員海沈めたるからな!!!」



「姐さんそない興奮せんで下さいよ〜。」



どうやら姐さんは、組長さんに愛人がいると疑って若い衆にキレているらしい。

かなり声をかけにくかったが、わしは姐さんにゆっくりと近付き挨拶をする。



「あっ……姐さんおはようございます。」



「お〜平尾おはよ〜。今日もしっかり頑張るんやで〜。これでコーヒーなと飲み〜。」




鬼のような形相やった姐さんは、わしの顔見た途端、急に優しくなり千円札を握らせてくれた。




「平尾今日店終わったら姐さんについておいで〜。あんたええ子やから姐さん気にいったわ。帰ってもヘンズリこいてるだけやろ?ちょっと一緒においでな〜。」



「はぁ……。(家帰ったらバタンキューで寝とるがな……無茶苦茶か。)」



「原田!!!あんた運転しぃ!!!今晩パパ一回帰るって電話あったからそのあと尾行するから!!!分かったな!!!」



「姐さん……。」



穏やかになった姐さんの顔がまた鬼に変わった。
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