893〜ヤクザ〜
「一人で頑張るしかないやろ(笑)」



「いやいやいや無理ですって!!西山さん一緒に来て下さいよ!!」



「あほ。わしゃタコ焼きなんか焼いた事もないわぃ。ここで仕込みの手伝いをしてるだけや。」



「そんな無責任なぁ……。」



「そもそもわしゃテキ屋は嫌いなんやな。極道はテキ屋でしのぎしてたらナメられるんじゃ。そうでなくても高田一家はテキ屋やってあちこちに書かれてるねんぞ。アホらしゅうなるわ。」



「せやけど俺一人なんて無理っすよ!!(泣)」



「お前、もう生地も自分で作れるやろ。何とか頑張ってこい。」



無茶苦茶な事を言われ、わしは強引に卵抜きの生地を作らされ、それを車に積め込み、車に乗せられた。



駅前の屋台に到着したわしは、ふて腐れながらも車から降りて材料を下ろした。



「西山さん……おやっさんってどんな感じの………」



バタン!!ブロロロロ……



わしの質問も聞かぬまま、西山さんは逃げるように帰って行った。



「むっちゃ速い……何やねんあのオッサンムカつくわ……。」



一人取り残されたわしは、しぶしぶ材料を屋台へと運ぶ事にした。
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