893〜ヤクザ〜
白いボロボロの軽四に乗った鬼瓦のようなオッサンが、路肩に車を停めてわしを睨んでる……!!!



(く…組長さんや!!絶対組長さんや!!むっちゃ見てるし!!あんな顔、ホタテマン以来や!!っていうか何であんな軽四乗ってるんよ!!ちゃうちゃうそんな事よりヤバい!!今、焼いてるの卵入りの方やないか!!)



わしは吸っとったタバコを足元に落し、すぐに立ち上がった。



今、鉄板に乗っているこの卵入りの生地だけを早く焼いてしまわないと組長さんにバレてしまう。

咄嗟にそう思ったわしは、ガスの火力を全開にした。

ボォーーー!!っと勢いよく音を立てて鉄板を焼く炎。



もう゛タコ焼き屋のプライド゛なんて、鬼瓦を見た瞬間に消え去っとった。



そして……ものの5分で『だんご』は出来上がった。



そしてだんごをパックに詰め、ペンキを塗るかの様にソースをかける。

じっくりと焼いたものとは明らかに重さが違った。
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