893〜ヤクザ〜
翌朝、わしはいつものように燃えるゴミを収集場所に運び、犬の散歩を終えて本宅に帰ると、わしを呼ぶ姐さんの声が台所から聞こえた。



台所に着くと姐さんは、黒いゴミ袋の口を両手できつく縛っとった。



「姐さん……今わしゴミ捨てに行ってきたとこですよ……また行かなあきませんやん(苦笑)」



「平尾。よぉ聞きや。あんたはこの世界入ってまだ浅いから言いにくいねんけどな。ちょっとこの袋にヤバイもん入ってて、山へ処理しに行くんやけどな。あんたにはまだ早いから、ちょっと原田呼んでき。原田に行かせるから……。」



「……………………。」



日頃あまり見せる事のない姐さんの真剣な表情に、わしはどう答えればいいのかも分からず、ただ首を縦に振る事しか出来んかった。

わしは小走りで部屋を飛び出し、原田君がいる事務所へと向かった。
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