893〜ヤクザ〜
――すぐにピンときた。



極道という世界はまだ浅くても、常識では有り得ないヤバイ状況である事くらいはわしにでも理解出来る。



(ヤ……ヤバヤバや!!!)



事務所へと続く廊下を小走りで走りながらわしは原田君の名前を必死に叫んだ。



「原田君!!!!!!」



目を剥き出しながら事務所を覗くと、そこには原田君の姿はなかった。



「本田君、原田君は!?」



「知らんぞ?さっきまでおったけどなぁ。何か用か?」



「い…いや……何もないです!!!」



「原田さっき腹痛い言うて出て行きよったからトイレちゃうか?あいつ病気もろて来たんちゃうか(笑)」



「トイレ……ありがとうございます!!!!」



わしはトイレへと全力疾走した。
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