《短編》くすんだ鍵
chapter 3
あの日から一週間、あたしは同じ部屋で暮らすミツを微妙に避けている。
と、いっても、顔を合わせれば普通に会話をするし、ご飯だって今まで通りに準備をしているけれど。
でも、最低限のこと以外は話さないし、食事時になると、適当な理由を見繕って、友達と会ったり、優心の部屋に逃げ込んだり。
だってそうでもしなきゃ、余計なことを口走ってしまいそうで怖かったから。
正直今でもまだ、琴音という女は嫌いだし、さっさと別れれば良いのに、という気持ちは残ってる。
だからこそ、自分自身の気持ちを整理したかった。
優心はもう、何も聞いては来ない。
「何かアンナとこうやって喋るの、すごい久々じゃない?」
本当に久しぶりに食卓で顔を突き合わせると、ミツはいつもと変わらぬ笑顔を向けてくる。
こういうのに弱い自分が一番ダメだとわかっているのに。
「そ、そうかなぁ。」
「そうだよ、俺寂しかったんだぞー。」
そしていつも通り、茶化したような言葉で小突かれる。
ミツが無意識なのだとわかっていても、期待させるようなことを言われるのは、正直辛い。
忙しかったのよー、なんて愛想笑いだけを返し、あたしは肉じゃがを口に放り込んだ。
決して好きじゃない料理を作るという行為さえ、この人のためだと発起して始めた自分はやっぱり馬鹿なのだろう。
どんなに上手くなったところで、ミツは振り向いてくれるわけでもないのにね。
ちょうど一週間前、ここにあの女がいたことを思い出すと、今も胸が軋むけれど。
と、いっても、顔を合わせれば普通に会話をするし、ご飯だって今まで通りに準備をしているけれど。
でも、最低限のこと以外は話さないし、食事時になると、適当な理由を見繕って、友達と会ったり、優心の部屋に逃げ込んだり。
だってそうでもしなきゃ、余計なことを口走ってしまいそうで怖かったから。
正直今でもまだ、琴音という女は嫌いだし、さっさと別れれば良いのに、という気持ちは残ってる。
だからこそ、自分自身の気持ちを整理したかった。
優心はもう、何も聞いては来ない。
「何かアンナとこうやって喋るの、すごい久々じゃない?」
本当に久しぶりに食卓で顔を突き合わせると、ミツはいつもと変わらぬ笑顔を向けてくる。
こういうのに弱い自分が一番ダメだとわかっているのに。
「そ、そうかなぁ。」
「そうだよ、俺寂しかったんだぞー。」
そしていつも通り、茶化したような言葉で小突かれる。
ミツが無意識なのだとわかっていても、期待させるようなことを言われるのは、正直辛い。
忙しかったのよー、なんて愛想笑いだけを返し、あたしは肉じゃがを口に放り込んだ。
決して好きじゃない料理を作るという行為さえ、この人のためだと発起して始めた自分はやっぱり馬鹿なのだろう。
どんなに上手くなったところで、ミツは振り向いてくれるわけでもないのにね。
ちょうど一週間前、ここにあの女がいたことを思い出すと、今も胸が軋むけれど。