《短編》くすんだ鍵
心臓が大きすぎる音で拍動を刻む。
許せないと思う反面で、これでミツはあの女と別れるんだ、という希望。
もちろん後者が勝っていた。
「…浮気、って?」
震える声で聞いた。
「この前、大学のサークルであった飲み会で、アイツ酔った勢いでそういうことしちゃったらしくて。
で、たまたま俺といた時に、その相手から電話があってさ。」
「………」
「どういうことだよ、って問い詰めたら、泣いて謝ってきた。」
信じられない女だ。
あたしがミツのカノジョなら、どんなに酔っ払ったってそんなことなんてしないし、間違ってもこの人を傷つけることなんて出来ない。
なのに、何なの?
「それで、アンタはなんて言ったの?」
「別れたくないって言われたんだけど、結局は距離を置くことになった。」
つまりは今、ミツも迷ってて、曖昧な関係になってる、ってことだ。
壊れてしまえば良いのに、と強く思ったあたしは、やっぱり醜いのだろうけど。
「許せないし、信じられない!
ミツはこんなに良いヤツなのにそれを裏切るなんて、どうかしてるよ!」
「………」
「ミツだって腹立ってるでしょ?
そんな女ならさっさと別れるべきだよ!」
まくし立てるあたしを、アンナ、と彼は制止する。
その瞳は泣きそうなほど揺れていた。
「俺、どうしたら良いのかなぁ。」
許せないと思う反面で、これでミツはあの女と別れるんだ、という希望。
もちろん後者が勝っていた。
「…浮気、って?」
震える声で聞いた。
「この前、大学のサークルであった飲み会で、アイツ酔った勢いでそういうことしちゃったらしくて。
で、たまたま俺といた時に、その相手から電話があってさ。」
「………」
「どういうことだよ、って問い詰めたら、泣いて謝ってきた。」
信じられない女だ。
あたしがミツのカノジョなら、どんなに酔っ払ったってそんなことなんてしないし、間違ってもこの人を傷つけることなんて出来ない。
なのに、何なの?
「それで、アンタはなんて言ったの?」
「別れたくないって言われたんだけど、結局は距離を置くことになった。」
つまりは今、ミツも迷ってて、曖昧な関係になってる、ってことだ。
壊れてしまえば良いのに、と強く思ったあたしは、やっぱり醜いのだろうけど。
「許せないし、信じられない!
ミツはこんなに良いヤツなのにそれを裏切るなんて、どうかしてるよ!」
「………」
「ミツだって腹立ってるでしょ?
そんな女ならさっさと別れるべきだよ!」
まくし立てるあたしを、アンナ、と彼は制止する。
その瞳は泣きそうなほど揺れていた。
「俺、どうしたら良いのかなぁ。」