《短編》くすんだ鍵
あたし達は、高校の同級生で、元クラスメイト。
当時、実家で暮らしていたあたしだったが、そこに転がり込んできたのは、お兄ちゃんのカノジョ。
つまりはある日突然、ひとつ屋根の下に、見も知らぬ他人がやってきたということ。
てか、同棲したいならふたりでどうぞ、って感じなのだが。
寛容な我が両親はわけのわからない女を歓迎し、あたしは軽くノイローゼ。
だが、ろくに貯金もせずに毎日のように遊び歩いていたあたしに、ひとり暮らしをするための資金はなかった。
だからどうしたものかと思いながらも憂さ晴らしで参加した同窓会で、気付けば酒の力を借りてあたしは、たまたま隣に座っていたミツに愚痴ってしまっていた。
「なら、俺とルームシェアでもしちゃいます?」
半分以上はその場のノリ。
けれど、聞けばミツもまた、家を出たかったらしい。
で、すっかり意気投合したあたし達は、それからとんとん拍子に話をまとめ、すぐに一緒に暮らし始めた。
家賃はミツが出す代わりに、あたしは料理や掃除、洗濯といった家事を担当。
リビングと、それぞれの寝室が2つあるこの部屋は、まさにお城と呼ぶにふさわしい。
とにかく毎日が楽しかった。
あたし達は気が合うと言えば良いか、家に帰ったってひとりじゃないし、寂しさなんてものも感じない。
だからあたしがミツのことを好きになるのに時間は掛からなかった。
けど、でも、キスのひとつだってしたことのない関係だ。
同居して半年。
あたし達は一番近い存在なはずなのに、なのに触れ合うことすらないのだから。
当時、実家で暮らしていたあたしだったが、そこに転がり込んできたのは、お兄ちゃんのカノジョ。
つまりはある日突然、ひとつ屋根の下に、見も知らぬ他人がやってきたということ。
てか、同棲したいならふたりでどうぞ、って感じなのだが。
寛容な我が両親はわけのわからない女を歓迎し、あたしは軽くノイローゼ。
だが、ろくに貯金もせずに毎日のように遊び歩いていたあたしに、ひとり暮らしをするための資金はなかった。
だからどうしたものかと思いながらも憂さ晴らしで参加した同窓会で、気付けば酒の力を借りてあたしは、たまたま隣に座っていたミツに愚痴ってしまっていた。
「なら、俺とルームシェアでもしちゃいます?」
半分以上はその場のノリ。
けれど、聞けばミツもまた、家を出たかったらしい。
で、すっかり意気投合したあたし達は、それからとんとん拍子に話をまとめ、すぐに一緒に暮らし始めた。
家賃はミツが出す代わりに、あたしは料理や掃除、洗濯といった家事を担当。
リビングと、それぞれの寝室が2つあるこの部屋は、まさにお城と呼ぶにふさわしい。
とにかく毎日が楽しかった。
あたし達は気が合うと言えば良いか、家に帰ったってひとりじゃないし、寂しさなんてものも感じない。
だからあたしがミツのことを好きになるのに時間は掛からなかった。
けど、でも、キスのひとつだってしたことのない関係だ。
同居して半年。
あたし達は一番近い存在なはずなのに、なのに触れ合うことすらないのだから。