《短編》くすんだ鍵
行為を終えてから、まどろむ意識の中で、優心の腕に抱かれた。
所詮は愛されたくて、報われたくて、欲求ばかりが人一倍強いあたしには、幸せなんて訪れるはずはないと、わかってるんだ。
だからこんなことしか繰り返せない。
「なぁ、もしアイツに好きだって言われたら、お前どうすんの?」
ありえない期待なんてさせないでほしい。
「関係ないじゃん。
それに優心だって、あたしひとりいなくなったところで、女に不自由なんてしてないでしょ。」
じゃあ、と言った彼は、あたしを見ようともせず、
「じゃあさ、もし俺がお前に好きだって言ったら?」
それこそありえない。
「何の冗談?
全然笑えないし、くだらないこと言わないで。」
突っぱねてみても、その顔色は変わらない。
優心を嫌いにはなりきれないけど、でもそこには信用なんてものはない。
いつも飄々としていて、何を考えているのかわからなくて、きっと誰もこの人の本心なんて覗けないんじゃないかと思うから。
「アンタ初めて会った日に、俺は誰にも本気にならない、って言ってたじゃない。」
そう、だからあたしはこの男を選んだんだ。
世の中には変わらないものなんかないというけれど、優心との変化なんて必要ないの。
ミツじゃなきゃ、他の全てに意味はない。
「わーったから、そうやって泣きそうな顔すんなっつーの。」
彼は笑ってから、まるで子供をあやすようにあたしを鼻をつまんだ。
泣きそうな顔なんてしてないつもりなのに、この男が言うから、何故だか悲しくなってしまう。
やっぱりあたしは馬鹿なのだろう。
所詮は愛されたくて、報われたくて、欲求ばかりが人一倍強いあたしには、幸せなんて訪れるはずはないと、わかってるんだ。
だからこんなことしか繰り返せない。
「なぁ、もしアイツに好きだって言われたら、お前どうすんの?」
ありえない期待なんてさせないでほしい。
「関係ないじゃん。
それに優心だって、あたしひとりいなくなったところで、女に不自由なんてしてないでしょ。」
じゃあ、と言った彼は、あたしを見ようともせず、
「じゃあさ、もし俺がお前に好きだって言ったら?」
それこそありえない。
「何の冗談?
全然笑えないし、くだらないこと言わないで。」
突っぱねてみても、その顔色は変わらない。
優心を嫌いにはなりきれないけど、でもそこには信用なんてものはない。
いつも飄々としていて、何を考えているのかわからなくて、きっと誰もこの人の本心なんて覗けないんじゃないかと思うから。
「アンタ初めて会った日に、俺は誰にも本気にならない、って言ってたじゃない。」
そう、だからあたしはこの男を選んだんだ。
世の中には変わらないものなんかないというけれど、優心との変化なんて必要ないの。
ミツじゃなきゃ、他の全てに意味はない。
「わーったから、そうやって泣きそうな顔すんなっつーの。」
彼は笑ってから、まるで子供をあやすようにあたしを鼻をつまんだ。
泣きそうな顔なんてしてないつもりなのに、この男が言うから、何故だか悲しくなってしまう。
やっぱりあたしは馬鹿なのだろう。