虹色ハート

生後27日目

 夕方、先生がパパとママに話しをしました。
「CTの時の感じですけど、おそらく大丈夫だと思います」
 エッ、何の異常もなく大丈夫だという事なの!?
 ママは思わず大喜びしそうになって…。
 そこへ先生の話が続きます。
「アンナちゃんを抱っこして動かしながらCTを撮ったんだけど、問題は起こりませんでした。だから、少しだけなら抱っこしても大丈夫ですよ」

 先生の言い方に、検査結果に異常がなかったのかと期待しちゃった。
 でも、抱っこ!!!!!!
 ガッカリしながらもパパとママはニンマリと顔を見合わせました。
 アンナも感激。
 やっとパパとママに抱きしめてもらえるんだ。

 首には血漿交換の管。
 口には人工呼吸機。
 鼻には胃液を吸う管。
 胸には心電図。
 右脇腹には腹膜透析の傷。
 左脇腹には新たに入れた腹膜透析の管。
 左足には点滴。
 右足には酸素を計る機械。

 わあ、パパとママがアンナを抱っこしてくれました。
 パパの腕は力強く、ママの胸ってあたたかい。
 パパもママもアンナが痛々しくて、傷つけてしまいそうで、強く抱きしめるのが怖く、ただ腕で持ち上げただけでした。
 それでもパパは初めてアンナを抱っこをして本当に幸せそう。
 パパもママも涙で目が真っ赤になっています。

 本当に一瞬だけの出来事でした。
 アンナの体が予想以上に軽くて細かったから驚いたでしょうね。
 パパ、ママ、ごめんね。
 アンナは抱っこしてもらえてどんな事よりもうれしかったよ。

 高い希望を持つなと言われたあの日。
 パパとママの願いは『どうかこの手にアンナを抱かせて下さい』でした。
 以外にあっさりとその夢が叶っちゃったね。
 あまりに呆気なく短い時間で、腕に支えられただけだから、ちょっぴり実感が湧かないなあ。
 でも、確かにパパとママの腕に抱かれました!!


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