虹色ハート

生後40日目(朝)

 今日、アンナはついに血漿交換の時に管の所から大量に出血してしまいました。
 血が止まらなくなり、血漿交換の管を抜かざるをえません。
 そして、とうとう首の血漿交換の管が抜かれました。

 昨夜、実はパパとママと先生が血漿交換について話し合ったばかりでした
「血漿交換が辛くないなら続けて欲しいけれど、アンナの負担になるならやめて下さい」
「かなり苦しいし負担にもなってるでしょう。だけど、僕は医者なので血漿交換をやめるわけにはいきません」
「はい」
 先生は言葉を選びながら丁寧に話してくれました。
「ただ、血漿交換はそんなに頻繁にする行為ではなく、国で月に7回まで決められています」
「そうですか」
「今月は既に6回もしています。あと1度しか出来ません。だから、いつも慎重にその時期を見極めます」
「お願いします」
「そして何等かの理由で管を抜き差し替えが必要となったら、ご両親の気持ちも尊重して、またその時に考えましょう」
「わかりました」
「次の差し直しはかなりリスキーです。前に管を入れた時もしばらく血が止まらなくなり非常に危険でした。条件はかなり悪化しているので危険性も増えています」
「…」
「それが原因で死んでしまう危険性が高いので、差し変えとなれば僕も迷います」
 血漿交換は月に7回まで、そして今月はもう残り1回だけ…。
 まだ今日は10月23日で1週間も残っているのに…。
 
 今朝、残り1回しか出来ないはずの血漿交換が行われました。
 今月の最後となる血漿交換です。
 しかも血が止まらなくなり、血漿交換の管を抜きました。
 いよいよアンナの生きる手段がなくなってしまいました。
 昨夜の先生との会話が遠い昔話に思えます。

 アンナも血漿交換の管をもう差し替えて欲しくないと思っていた。
 それなのに、いざその管を抜いたら、生きていたいと願ってしまいます。
 だって、アンナはまだ死にたくないよ。
 1歩ずつ確実に近づいてくる死が怖くて辛いです。
 心が痛くて壊れそうだよ。
 アンナを助けてください。
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