美女の危険な香り
 それに仮に香原財閥を買収すれば、俺は優紀子とは円満に離婚しようと考えていた。


 互いにその方向性で一致していたのだ。


 何も嫌がる者同士で一緒にいたくはない。


 要は俺も大企業の社長令嬢との満たされない結婚生活よりも、年こそ若いが、愛情を期待できそうな一OLとの同棲生活の方を望んでいたのだ。


 この同棲がいずれは結婚生活に発展することになる。


 俺たちは食事し終わって、屠蘇を飲みながら寛いでいた。


 年が明けると、少しだけ気候がよくなる。


 俺も千奈美もこれから部屋に帰り、ゆっくりするつもりでいた。 


 ダイニングに設置してあるデジタル時計が午前九時過ぎを差している。


 確かここの食堂は午前十時半までだったので、まだいられる。


 近くにいたウエイターが食後の一杯にと思ったのだろう、


「コーヒーはいかがですか?」
 
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