美女の危険な香り
 パソコンのディスプレイ上には株価のチャートが映っている。


 三箇日が終われば、もう仕事だ。


 俺はある程度構えていた。


 確かにいろいろあるのだ。


 会社を経営していくこと、それにパートナーを満足させることも併せて……。


 一つ確実に言えるのが、目の前で笑っている千奈美が俺に対し、一切ウソをつかないということだった。


 これが一番の幸せなのだ。
 

 何せ俺と優紀子は互いに散々ウソをつき続けた挙句、破綻したのだから……。
 

 同じ轍(わだち)を踏むつもりはもうない。


 俺にも学習能力はちゃんとあるのだし……。


 俺はパソコンをシャットダウンすると、千奈美がビール缶を二つ持ってきて、


「飲むでしょ?」

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