美女の危険な香り
第22章
     22
 俺はその年の仕事始めである一月四日、いつも通り出社した。


 社長室に入り、秘書課の秘書が淹れてくれていたコーヒーに口を付ける。


 たった一杯で体が温まった。


 俺は心身ともに充実した感じで、仕事し始める。


 デスクには書類が山積みされていた。


 それに目を通していると、不意にデスク上の固定が鳴り始める。


 俺は受話器を手に取り、右耳に押し当てて、


「はい、今井」


 と言った。


 ――あ、社長、お疲れ様です。古雅です。


「幹部会の件だろ?」


 ――ええ。つい先ほど高橋さんとも協議して、今日の午後二時から会議室で開くよう、手続きをいたしました。
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