美女の危険な香り
 と言って、社長室を出た。


 俺はそのまま、ステーキハウスへと向かう。
 

 しっかりと栄養を付けてから、午後二時の幹部会に臨むつもりでいた。

 
 俺が思っていることはただ一つだ。


「大礒龍造の悪だくみだけは何としてでも阻止しないといけない」ということである。


 つまり健介を香原家に養子として入れず、逆に敵対的買収で、大磯グループ・香原財閥二つを完全子会社化してしまうことだ。


 俺はそんなことを考えながら、ステーキハウスへと入っていった。


「こんにちは、マスター」


「ああ。いらっしゃい、今井さん」


 俺とマスターがいつも通り声掛けをする。


「言い遅れたけど、新年明けましておめでとう」


「ああ、おめでとうございます。今年もよろしく」

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