美女の危険な香り
第23章
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「マスター、ご馳走様」


「ああ、また来てね。肉焼いてあげるから」


「うん。俺も今日の午後から幹部会があって、忙しいんだ」


「そう。……じゃあ、ちょっと待ってて」


 マスターがそう言い、俺に熱々のコーヒーの入ったカップを差し出した。


「ああ、すまんね」


「これぐらい、いつも来てくれてるお客さんには当然のサービスでしょ」


「マスターの淹れるコーヒー、美味いからな」


 俺が砂糖もミルクも入れないまま、ブラックで啜る。


 ゆっくりとは出来ないが、俺は会議が始まるまで時間があったので、椅子にもう一度座って、コーヒーを飲んだ。


「今井さん」


「何?」
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