美女の危険な香り
 俺はいくら愛想を尽かしてしまった女房でも、変な事態にならなければいいなと思っていた。


 風呂上りに、俺は冷蔵庫から冷えた缶ビールを一缶取り出し、プルトップを捻り開けてゆっくりと呷る。


 入浴後の一杯は水分補給にもなり、とても気持ちがいいものだった。


 ビールを飲み終わると、自然と眠気が差してくる。


 ベッドサイドのデジタル時計が午後十一時過ぎを差していて、眠るにはちょうどいい頃だった。


 俺はベッドに横たわると、そのまま寝入ってしまう。


 朝まで熟睡した。


 途中で一度目が覚めはしたものの、トイレに立たずに眠る。


 午前八時前には起き出して、上下ともスーツを着、会社に行く準備を整えて、俺は部屋を出た。


 隣の優紀子の部屋がまだ静かで、腐臭のようなものが漂い続けている。


 俺が不審に思って、ドアをノックし、
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