美女の危険な香り
 互いに独身同士なら許される行為なのに。


 どうやら誠はタイミングが悪かったようだ。


 俺や千奈美と違って。


「どうぞ」


 定食がテーブルに届いたので、俺は箸を付ける。


 妻が自殺した直後なのに、なぜかしら飯が美味いのは皮肉だった。


 これは単なる偶然か、それとも必然なのだろうか……?


 そのときの俺には分からない。


 優紀子の葬儀は一応、今月末に執り行おうと思っていた。


 日程までは未だ定かでないのだが……。



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